温暖化利権の地政学

温暖化ショックによる石油新時代
石油資源が枯渇すると言われて久しい。しかし、第三次オイルショックは当分の間来ないだろう。中国は、渤海で油田・天然ガス田を発見したようだ(中国、渤海で油田・天然ガス田発見)。さらにロシアはすでに世界でも有数の資源大国となった。あの広大の国土の下には、世界を支配できるだけの資源が十二分に埋もれている。今やロシアの原油輸出量は中東についで世界第2位である(ロシア - Wikipedia)。

アメリカは多くの兵士の犠牲によってやっとのことで石油資源を確保したが、不死鳥のようにロシアが甦り中国と手を組めば、世界はまた赤い資本によって苦しめられることになるだろう。冷戦は終わっていない。油断したときからアメリカの自壊が始まっているのだ。ロシアに核がなければ、アメリカは真っ先にロシアを占領していたはずだ。イランの核開発も遅きに喫した感がある。核の抑止力は絶大である。そして核と石油は抜き差しならない密接な関係がある。端的に言えば、石油枯渇も温暖化騒動も原発利権のために過ぎないものだ。消えては現れる終末論に人々は踊らされ続けることになるだろう。恐怖にわれを失った人間ほどコントロールしやすいものはない。危険な気候変動と煽り立てるものもいるが、危険なのは気候ではない。人間の業の深さだ。

ペトロチャイナの新油田発見について
原油高騰とロシア周りの雑駁な話


温暖化ブームの仕掛け人・御用学者シュナイダー
地球温暖化論の胡散臭さは多くの人が指摘するところだが、当然、社会学者も大いに注目していた。薬師院仁志はそんな社会学者の一人だ。彼は「地球温暖化論への挑戦」という本を書いている。これは理系の私から見ても感心するほど科学的な側面も詳しく検討されている。そして温暖化論がきわめて社会学的対象であるかということもわかる。これは原子力産業の御用学者スティーヴン・シュナイダーと石炭産業の御用学者リンゼンの戦いでもあったのだ。そして、この戦いに石炭産業は見事に敗北し、京都議定書にともないEUの多くでは石炭を閉山し、天然ガスに切り替えることで目標値をいとも簡単に達成した。

薬師院はこう指摘する。「シュナイダー氏は、科学者としての学説は正反対に変えてしまったのであるが、原子力産業支持の立場だけは何十年も首尾一貫しているのである。スリーマイル島事故が起ころうとも、チェルノブイリ事故が起ころうとも、軽々と変節するようなまねは決してしなかった。地球が寒くなろうが暑くなろうが、チェルノブイリで何人死のうが何であろうが、とにかく原子力エネルギー推進だというわけである。この点だけは一貫している」

「これまでの温暖化論争は……シュナイダーとリンゼンを両代表とする科学者グループの間でなされている。前者は原子力産業の御用学者グループであり、後者は石炭産業の御用学者グループである。両者ははじめから到達すべき結論が決まっており、決して科学的ではない。この論争の勝敗はどちらに行政が味方したかで決まってしまう。それは、どちらのグループに研究費が余計に出るかを意味する。研究費がたくさん出るほうに、一般の気象学者が同調することになり、多数派が形成されることになる。(槌田敦「リプライ―反論になっていない松岡コメント」 環境経済・政策学会編『地球温暖化への挑戦』東洋経済新報社(1999)p253-254)」

シュナイダーは、石炭産業を環境汚染産業として糾弾する一方で、メルトダウンしない安全な原子炉の設計を提案し、原子炉の安全性を高めるべきだとの原子力擁護発言を常々行っている。しかも、シュナイダーは寒冷化を論じていたときでさえ、原子力エネルギーがそれを救うとまで述べている。

もちろん、シュナイダーは、今年発表されたIPCCの第2作業部会の報告書の統括執筆責任者(第2作業部会の担当は影響、適応、脆弱性)をつとめている。
http://www.keieiken.co.jp/monthly/2007/0703-1/index.html

原子力産業・冬の時代
これまで原発はクリーン・エネルギーであるという偽りの宣伝が行われてきたが、チェルノブイリやスリーマイルのなどの相次ぐ事故により厳しい反発を受けるようになった。ウクライナでは東京都と同面積が非居住地化し、ベラルーシでは国土の四分の一が非居住地化してしまった。ドイツが原子力全廃を決めたひとつにはテロ行為による原発破壊も一つの要因としてあげられている。そこで、注目されるようになったのが二酸化炭素を余り排出しないので環境にやさしいという主張だ。そのため少なくとも原発のリスク以上に温暖化による脅威を煽る必要が出てきてた。

また温暖化の危機を煽る一方で、日本の原発関係者はチェルノブイリ事故を「日本では起きない事故」と断言し、原発に対する安全神話を構築してきた。しかし、最近になって臨界事故や数多くのトラブル隠しが発覚したため、 世論の目も厳しくなってきているが、なおさら温暖化の危機を騒ぎたればいいだけのことだ。

東海村のJCO臨界事故では放射線被曝による多臓器不全で二人死んでいるが、脱原発で有名な高木仁三郎が死んだ今となっては、何が起ころうが問題とはならないだろう。再び、チェルノブイリのような深刻な事故が起これば、二度と原発産業は立ち直れないだろうが、今は綱渡りながら、「原発輸出」でバブルを謳歌するがいいだろう。日本も巨大事故が起きれば、国家予算の二倍の被害が出ることを覚悟しておくべきだ(原子力産業会議の損害試算)。それが原発のリスクだ。廃艦となった墓石としての原発施設は後世に巨大なゴミとして君臨し続けるだろう。放射能を垂れ流し続けながら。


仕組まれたシナリオ

『九二年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットにおいて、地球温暖化防止条約が締結されてから、突如として、二酸化炭素悪玉説が固定された経過に疑念がある。同会議の議長をつとめたブラジル環境長官ゴルデンベルグは、同国トップの原子物理学者であり、この会議以後、世界中の原子力産業が「二酸化炭素による地球の温暖化説」を引き合いに出して原子力推進論を展開するようになった。 』
(広瀬隆著「燃料電池が世界を変える」)

NGGIPは国連のIPCCの第I作業部会とOECD経済協力開発機構)、IEA(国際エネルギー機関)の共同事業としてOECDが事務局となって運営していたが財政事情の悪化に伴い、IPCC議長より各国政府に対して同プログラム事務局の受け入れ打診がなされた(温室効果ガスインベントリープログラム;NGGIP)。IPCCの報告書が政策決定者向け要約(SPM)となっているのはそのためだ。温暖化騒動は、国連のIPCC経済協力開発機構(OECD)、国際エネルギー機関(IEA)が三位一体となって行った温暖化詐欺である。エコロジーとエコノミーが結びついた瞬間だ。

IPCCの第一次評価報告書(1990)」では明確に原発の推進に重点を置いたシナリオによるシミュレーションが行われている。

シナリオA: 21世紀末まで何も対策を講じない場合.
シナリオB: 化石燃料のうちCO2排出量の少ない天然ガスへ転換した場合.
シナリオC、D:2050 年以降に再生可能なエネルギーや原子力エネルギーの利用を図った場合.

シナリオA〜Dの順に昇温の幅が小さいといわれ、必然的に原発の開発が推進できるシナリオになっている。当初、温暖化論は二酸化炭素を排出しない「クリーン」なエネルギー源である原子力発電の推進キャンペーンと常にセットで唱えられていた。今では「代替エネルギー開発」とセットで唱えられているが、どちらも利権にまつわるものだ。抱き合わせで唱えられる利権こそが本当の目的だ。

実際にゴア・シニアは温暖化防止と称して原発と核の推進を推し進めてきた。また息子のアル・ゴアの資産運用を委託しているヘッジファンド「チューダー・ジョーンズ・インベストメント」は代替エネルギー関連銘柄を映画の公開後に売却し、巨額の利益を得ている。これは事実上のインサイダー取引といってもいいだろう。またマークリッチという代替エネルギー開発に必要な鉱物資源を扱うマフィアとゴアやクリントンの関係も指摘されている(http://alternativereport.seesaa.net/article/32279135.html)。


復活した原子力産業と躍進する代替エネルギー産業
温暖化のシナリオは政治的なシナリオに沿った自作自演劇に過ぎない。そしてこのマッチポンプは見事に世界の流れを変えて見せた。今や温暖化騒動によって、原発増設の動きは世界的な流れになった。京都議定書の「京都メカニズム」におけるクリーン開発メカニズムは、 途上国支援の一貫として原子力発電所を途上国に輸出・建設するいわゆる「原発輸出」への動きを加速させることに見事に成功したのだ。おかげで、ウランの価格はこの半年で二倍近くにまで跳ね上がってしまった。

『アジアの原発ラッシュはすごい勢いだ。昨年12月現在での建設中あるいは建設予定の原発を数えてみると、日本13基、中国10基、インド8基、韓国8基、台湾2基、インドネシア4基、パキスタン1基、とアジアで合計46基の原発が計画されている。全世界で同様に建設中あるいは建設予定の原発は75基。半分以上がアジアに集中していることになる。』
世界は原発ブーム

原子力推進に政策転換か ―地球温暖化防止の観点から英国ブレア首相―
社説 原子力白書 温暖化で舞い上がる時か 2007年03月21日
再評価の気運高まる原子力エネルギー

地球からの警鐘:再び脚光を浴びる原発  2006年4月号 ナショナルジオグラフィック NATIONAL GEOGRAPHIC.JP


京都議定書のその後の動き

京都議定書のその後日本は、エコエコと呪文のように唱えるメディアでいっぱいだ。企業がその流れに便乗するのは当然として、官主導のデマゴークであるチーム・マイナス6%は実にくだらない。まったく効果のない対策を採らせて、役人の失策を国民に押し付ける愚策にしか過ぎないが、それ以上に国民はバカだから官僚も笑いが止まらないだろう。

温暖化騒ぎでとにかく金がかかる時代になった。炭素税、石油の価格高騰、バイオエタノールの開発のしわ寄せによるオレンジジュースやマヨネーズの価格の高騰など、時間がたてばさらに多岐にわたる影響が出てくるだろう。日本の畜産業も輸入トウモロコシに依存しているから、トウモロコシの値段か上がれば、ますます物価は高くなる一方だ。そして炭素固定化技術(CCS)を初め、大気にエアロゾルをばら撒き冷却効果を狙うなど、科学技術の暴走気味な温暖化対策が目白押しだ。行き過ぎた対策は逆ねじとなり、その逆ねじを巻きすぎれば、それは新たな人災を巻き起こすであろう(地球温暖化対策、行き過ぎた科学技術に懸念)。

アメリカの上空で化学物質の散布がおこなわれているニュース映像がyoutubeに流れ話題になっているようだが(NBC news: Chemtrails over California )、これは中国が山にペンキを塗るのと同じぐらい間違った方法だ(中国雲南省:乱開発の禿山にペンキを大量噴霧して「緑化」)。これから雨後の竹の子のように、二酸化炭素関連のエコ技術やエコ商品が出るだろうが、それらは全てインチキ商品になる可能性が極めて高い。本来、自然に大量にあるものと、人為で少しだけでるものを区別など出来ないのだ。二酸化炭素の抑制は無理してオナラを我慢するようなものだ。二酸化炭素は息を吐いたって出るし、自然の営みだ。この生理的な行いを否定することは、自己否定そのものだ。現世否定に染まったカルトが行き着くとこまでいけば、オウムや連合赤軍のような自滅の道しか残されていないだろう。

日本政府は「エネルギー政策基本法」を掲げ、『エネルギー基本計画』の中で「環境」のために積極的な原発推進をうたっている。
「第一に、自立した環境適合的なエネルギー需給構造を実現するため、原子力発電を積極的に推進し、新エネルギーの着実な導入拡大を図ること」(エネルギー基本計画)(地球温暖化対策として日米で原発を推進する「日米原子力共同行動計画」

一方、カナダでは、ハーパー保守党政権が京都議定書からの離脱を早々と表明した(カナダは京都議定書達成不可能と発表,米は原発34基建設計画 )。このハーバー首相は保守本流といってもいいだろう。日本のヘタレ保守と違い、はっきりと中国の人権蹂躙状態を糾弾している。これは台湾にとっても心強い味方になるだろう(2006年話題の人物、「戦う首相」にカナダ・ハーパー首相=タイム誌)。しかし、中共反日ロビー活動は世界中に及んでおり、日系が多く暮らすカルフォルニアでは反日教育が行われるようになってしまっている。マイク・ホンダ議員も日系だが、日系はアメリカの国益を第一に考えるのだ。カナダの反日教育もすさまじいものがある。(中国の陰謀、カナダの反日教育)


敵に塩を送る

日本は京都議定書の代償として、現在2兆円の罰則金を背負っている。この二兆円分の削減義務を排出権取引により他の国から金で買おうとすれば、結果として日本は「効果の薄い京都議定書」と心中して「環境をカネで買う」と非難されることになるのは目に見えている。議定書も守れず、しかも膨大な余剰排出枠を持つロシアに二兆円もの支払い義務を追うなど、踏んだりけったりとはまさにこのことだ。しかもたちが悪いのは日本のマスコミたちだ。欧米のメディアでは、また日本がぼったくられたとバカにして報道しているが、日本のマスコミは必死に隠して、エコエコと呪文のように唱える一方だ。

『ロシアのプーチン大統領京都議定書にサイン(批准)した次の朝、日本の新聞は「プーチン大統領も環境に目覚めた」と書いた。 欧米の新聞は「プーチンは日本から2兆円取れる。ロシアの国際戦略」と位置づけた。 』
環境で異端児扱いになる日本

敵に塩を送るという言葉があるが、ロシアに二兆円も送るバカがどこにいるだろうか。しかも、ロシアは京都議定書に付帯条件をつけ、第二段以降の参加は未定としている。これは日本から2兆円分捕ったらばっくれると明言しているようなものだ。

『ロシア下院のコサチョフ外交委員長は記者団に対し「第1段階だけに参加するとの明確な付帯条件を付けた。我々は、この期間に京都議定書がロシアの利益のために作用すると理解しているが、そうでないことが分かれば、議定書への参加を無条件に辞退する」と語り、第2段階以降の参加は未定との見方を示した。』
<ロシア>京都議定書参加は第1段階だけ 批准法に付帯条件

環境庁は日本を売り飛ばした
環境問題(地球温暖化)と利権(その5)


真の温暖化対策

さて、ロシアに二兆円をとられるは、効果の薄い京都議定書は守れず、日本の面子は丸つぶれと散々な条約だが、周りをよく見渡して欲しい。保守党が政権を握ったカナダは離脱し、アメリカも米国人科学者17600名がオレゴン申請(Oregon Petition )に署名し、温暖化論が科学でないことを主張している。72人のノーベル賞受賞者を含む4000人の科学者が、二酸化炭素地球温暖化は無関係であるとの主張に参名したハイデルブルグ控訴(Heidelberg Appeal)というのもある。

日本が恥をかかずに京都議定書を有効利用するためには、まず温暖化の原因が二酸化炭素でないことを正直に告白すればよい。カナダやアメリカは応援してくれるだろう。中国の光化学スモッグなどは京都議定書ではまったく規制できない。温暖化が原因といわれているものの多くは、ヒートアイランドや大気汚染によるもので、それは都市化と密接に結びついた問題だ。この「大気汚染」に対する条約を結ぶために、京都議定書をまるまる見直す提案をするべきだ。

ちゃんとした気象学者なら、異常気象と言われるものの多くが、「北極振動」による「偏西風の蛇行」にあることを教えてくるだろう。コンピュータばかりいじくっている連中は気象学者ではない。単なる計算屋だ。自然科学者は自然を対象に観測し、実験をするものだ。


ローカル・ウォーミング

アメリカの温暖化の原因は飛行機雲である可能性が高いようだ。これは二酸化炭素の排出を規制したとしても、アメリカの温暖化に対してはなんら解決策にはならないということだ。アメリカの場合、鉄道網を自動車会社が意図的に潰してしまったから、代わりの輸送機関もなく、どうにも首が回らないといったところだろうか(http://www.himekuri.net/d64/raika/20046/1.html)。
アメリカ航空宇宙局NASA)は、飛行機雲が地球温暖化を加速しているとの研究結果を発表した。NASAラングレー研究センターが、1975〜1994年のアメリカ上空の天候や雲の観測データを分析し、航空機の増加と比例して、巻雲(絹雲)の量が増えていたことを突き止め、過去20年間の北アメリカの気温上昇の主な原因は旅客機だったと結論づけた。』(NASA、「飛行機雲が地球温暖化を加速」と発表

東京でもすさまじい温度上昇を示しているが、これは二酸化炭素などはほとんど関係ない。大気汚染により熱循環がさまたげられたために起こるヒートアイランド現象に過ぎない。これは二酸化炭素ではなく、大気汚染物質の排出を抑えなければまったく効果がない。もしかしたら、アトピーやアレルギーの原因も大気汚染物質が深く関わっている可能性もあるのかもしれない。

http://data.giss.nasa.gov/cgi-bin/gistemp/gistemp_station.py?id=210476620003&data_set=1&num_neighbors=1


『人間活動による大気汚染が雪面を汚し,雪面のアルベド(反射率)を低下させて日射の吸収率を高め,融雪を早めていることが考えられる.大気汚染によるアルベド低下は,北極海の海氷や,グリーンランドの氷床,各地の山岳氷河にも等しく作用するので,最近の急激な雪氷圏の変動を説明できる可能性がある.』(http://www.st.hirosaki-u.ac.jp/~earth_metlab/monthly0611/)

『たしかに今も氷河に関しては、1年に100m以上も後退しています。ただしこの原因には降雪量の減少、乾燥化の影響があります。また北極の海氷も減少しつつありますが、これは北大西洋の暖流が流れ込むことによります。北大西洋振動という自然現象で、温室効果とは無関係な現象です。』
http://plaza.rakuten.co.jp/kopanda06/diary/20070503/

北極圏のサイエンス

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