ポスト冷戦時代のポリティカル・アート

  • 米中露環境戦争

日本は環境技術立国、ロボット先進国として名をはせている。トヨタのハイブリッド・カー、プリウスは北米でも人気だ。石油が枯渇すると、もうだいぶ前から言われているが、今後、中国などの石油需要がますます伸びるにつれ、新しい油田の発掘も活発になるだろう。このまま、中国の軍事大国化に歯止めがかからなければ、台湾などの周辺諸国との武力衝突の可能性はきわめて高くなる(「侵略合理化法」としての「反国家分裂法」)

すでに、ロシアの石油が中国に輸出されている現在、最低限、アラブの石油を確保しておかなければ、将来的な中国の脅威は高まるばかりだ。つまり、イラク戦争は今後の中国の石油需要を見越して行われたものだ。そのための代償は高くつき、イランなどの不穏な動きを助長させることになってしまった(石油支配めぐるイラク戦争)。

中国の経済発展は地球環境にも重大な影響を及ぼすと考えられている。中国では石油の代わりに石炭がよく使われている。そんな中国では、地球温暖化の主因の一つとも言われている二酸化炭素の排出量はアメリカについで多い。中国の二酸化炭素の排出量は、人口を考えれば、まだそんなに多い方ではない。

しかし、これから、一人あたまの排出量が増えれば、世界一の排出国になるのは時間の問題だろう。この二酸化炭素の排出量を規制する京都議定書には、中国はもちろんアメリカも批准していない。これでは、他の国がいくら努力しても焼け石に水だろう。とくに、中国は世界の工場ともいわれ、日本企業も相当な投資をしているが、これでは他の国で悪さをしているのと変わらない(外資の環境汚染)。

実際、日本では環境規制が厳しくてできないものを、中国などで行っている企業は数多く存在する。表向きは、ゼロ・エミッションだのチーム・マイナス6% だの言っているが、よくまあ白々しいことが言えたものだ。今や非関税障壁の一つとして、環境保護が唱えられているのが現状だ(中国進出日系企業のビジネスリスク管理)。

しかし、そもそも地球温暖化論には、見落としている点がいくつもある。まず、百年後の温度上昇の見積もりは、1〜6℃と非常にバラつきが大きい。そのばらつきの原因のほとんどは、排出シナリオ(経済モデル)の違いによるものだ。長期の経済予測ができれば、それに越したことはないが、そんなことは絵空事に過ぎないだろう(第5次評価報告書(AR5)に向けた新しい排出シナリオの作成)。

二酸化炭素の大気組成は、わずか0.04%しかない。温暖化ガスの主役はあくまで水蒸気(〜3.0%;変動)であり、二酸化炭素はフィードバック機構を促進する、いわば、触媒的な役割を担うとされている。地球規模からすれば、二酸化炭素は微々たる物でしかない。天文学的なスケールで一番影響を及ぼすのはなんと言っても太陽活動である(ドル・円25年サイクルと太陽黒点の11年周期)(太陽活動サイクルにばらつき)。

  • 核融合の幻惑 (Fusion or Confusion)

現代は太陽活動の極大期とも言われ、実際、20世紀になって太陽黒点の周期もだんだん短くなってきている。太陽活動の活発化を考慮しない温暖化論は片手落ちでしかない。では、地球シミュレータのように、太陽もシミュレーションをすればいいわけだが、ここに落とし穴がある。太陽活動は核融合に対する理解が不可欠だ。しかし、地球上で核融合のデータを得るには、核融合炉か、水爆実験のデータぐらいしかない。しかし、アメリカは、臨界前核実験を用いたコンピュータ・シミュレーションを完成させている(シミュレーション・コードの完成)。つまり、事実上、アメリカのみが太陽シミュレーションに成功しているのだ(1枚の写真が指し示すアメリカ「ITER」撤退の真相 )。

アメリカが二酸化炭素の排出削減に積極的でないのも、地球温暖化論の原因が太陽活動の活発化によるものと踏んでいるからだ(アメリカが京都議定書に入らない理由)。もう一つはなんといってもピーター・シュワルツとラグランドールによるペンタゴン・レポートの影響が大きいだろう(地球の寒冷化に関するペンタゴンレポート)。それによると、地球温暖化による海流の変化が原因で、北半球では2010年から平均気温が下がり始め、2017年には平均気温が7~8℃下がるという(Imagining the Unthinkable)。*1

当初、アメリカが京都議定書の批准を躊躇ったのは、業界からの圧力の影響もあるだろうが、最近ではアル・ゴアのようなアジテータも現れ、流れは変わってきている。ゴアはもともと環境保護推進派だが、他にも地球温暖化論を非関税障壁として利用し、中国やロシアの動きをけん制するために用いようとするものも現れてきたようだ。

そんな中、もう一つの核融合大国であるロシアの科学者からは、二酸化炭素の増大が原因だとする地球温暖化説に異を唱える声がでている。ロシア科学アカデミーアブダサマトブ博士Dr.Abdusamatov)は、次のように主張している。

地球温暖化は大気中の温室効果ガスの排出ではなく、太陽輻射の異常に高いレベルとその強度の長い──ほとんど1世紀にわたっての──増大に起因している」

アブダサマトブ博士の未来予測はこうだ。2012年から2015年にかけて地球上の気温は下がり始め2040年頃に底のレベルに達する。そのため地球は2055年頃からミニ氷河期に入り、氷河期はその後の気温上昇が起こるまでの約50年間続くのだと断言している。

地球温暖化対策として、核の冬ならぬ、太陽光を遮蔽・反射する物質をばら撒く研究なども行われている。しかし、極寒の地・ロシアの科学者の説がただしければ、「ミニ氷河期」に入る可能性もあるのだから、寒冷化に対する対策も立てておくべきだろう。どっちみち、われわれは太陽の支配下にあるのだ。(太陽活動)(地球冷却化

  • 石油枯渇後の世界・ポスト石油時代のヴィジョン

ネットは核戦争にも耐えうる通信システムとして開発された。今度は、石油枯渇に耐えうる社会を構築する必要があるのだろう。では、石油に代わるモバイル・エネルギーには何があるだろうか。燃料電池だろうか。それともエタノールだろうか。中規模・モバイル・エネルギー源ならば、すでに原子力潜水艦原子力空母がある。SFの世界はどうだろう。ドラえもんは体内に原子炉を持っている。鉄腕アトムも、ガンダムも、小型核融合炉を搭載している。核融合炉は、地上に、太陽を作る試みだ。

しかし、国際熱核融合実験炉(ITER)などは、まだ実験炉の段階である。ちなみに、ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊教授などは、このITER計画に反対している。技術的には現時点で超えられないハードルがあり、いくつものブレークスルーが起こらなければ、実用化は当分先のことだろう。少なくとも、数百年程度のスパンで考えた方が無難だ。ちなみに、熱核融合の分野における日本の研究はトップクラスでもある(国際熱核融合炉「ITER」 日本への誘致“失敗”の舞台裏)。

情報化社会といわれるようになって久しい。臨界前核実験を用いたシミュレーションや温暖化予測のための地球シミュレータなど、今やコンピュータ・シミュレーションはなくてはならない存在になっている。もちろん、インターネットもそうだ。未来予測をコンピュータに任せるとは、まるで漫画の世界だ。実際、手塚治虫の漫画には、御神体のような中央集権型の巨大コンピュータがよく出てくる。しかし、さすがの手塚治虫も、ネットによる分散型システムは予見しきれなかったようだ。

ゲッペルスは言う。「何度も繰り返せば嘘でも人は信じる」と。孫子クラウゼヴィッツプロパガンダの重要性を知らない。神の目と神の耳(地獄耳)としてスパイ衛星やエシュロンを持つアメリカ、金盾プロジョクトや反日宣伝工作など情報統制や宣伝工作に長けた中国など、情報戦を制するのはどの国になるだろうか。神のみぞ知る。

全体主義に対する警戒からカール・ポパーは「開いた社会」を提唱した。閉鎖系のエントロピーは増大する一方だが、地球は開放系である。太陽からのネゲントロピーがあるからこそ、豊潤な生態系が保たれている。しかし、だからといって中国のようにロケットで衛星を破壊し、宇宙にゴミをばら撒く行為は、決して許されざる行為だ。スペース・デブリで宇宙にまで迷惑をかけるようになったとは、中国国内の秩序問題の掃き捨て場が宇宙規模にまで達しているのだろう。

ポパーが警告した「歴史法則主義の貧困」は、現代においてはコンピュータによる未来予測という形で潜んでいる。この未来予測に即して計画経済が行われるようになれば、環境イデオロギーによる新たな抑圧の始まりだ。自由はかつてないほど制限されるだろう。この歴史法則は全世界の人が標的なのだから。IPCCの排出シナリオに沿って、これから全世界が踊らされるのだ。

環境ファシズムの兆候は、すでにエコ・リベラルとも言うべき勢力に見出されている。「赤から緑へ」の流れで新左翼が市民団体などになだれ込んだことで、ニセ科学に基づいたエコ情報がまん延している。左翼は、目的のためには手段を選ばない。アル・ゴアも、環境に対する危機意識を喚起するためには、誇張表現は必要だぐらいにしか思っていないのだろう。彼のパラノイア的な態度は、陰謀理論に嵌った者がみせる典型的な症状だ。確かに、環境危機を憂えるのは結構なことだが、その高い理想主義的な物の見方が現実を見る目を曇らせることにもなっている。

言葉がファッションとして用いられるようになれば、それはファシズムへ至る第一歩だ。エコが時代の空気として流れれば、その流れに乗ったものならば、ウソやインチキでも気づかずに許されてしまうのだ。エコにとらわれた歴史的文脈の中でファシズムは進む。エコ気分な時代の風潮を浴びながら。

  • 情報の非対称

北朝鮮の最初の核爆発の直後から、米国だけでなく日本も大気サンプルをとって、その塵から核爆発によって生じる特有の物質の検出をしようとした。ところが米国はその証拠を捉えたが、日本は検出できなかった(核に無知な日本人に贈る基礎知識 =江畑謙介)。これは江畑謙介が指摘するように、日本には核に対するアレルギーがあるため、核兵器に対する研究がなおざりにされてきたからだ。

あのオウム真理教地下鉄サリン事件においても、検出に当たった消防庁の化学機動中隊は、ガス分析装置にサリンのデータがインプットされていなかった。そのため、消防官や警察官も多数の二次被害を受けることになった。結局、サリンの除染活動は自衛隊の第101化学防護隊が当たることになった。

孫子の兵法には「 敵を知り、己を知れば百戦危うからず」とある。地球温暖化論にしても、肝心、要のデータをアメリカに押さえられていては勝ち目はない。エシュロンを含めアメリカは情報戦の重要性を熟知している。伊達に戦争をしているわけではない。中国も超限戦という名の見えない戦争を仕掛けている。平和ボケしている日本人は知らぬが仏というところか。

  • 情報戦時代の終焉

この情報戦の時代に、情報理論に基づく暗号理論は必要不可欠になっている。情報理論においてエントロピーは平均情報量として定義されている。マクスウェルの悪魔は、記憶が消去されるときにエントロピーが増大するという。マザー・コンピューターに支配された管理社会は、メモリーの消去とともに去り行くのかもしれない。


マウンダー極小期〜太陽活動サイクルと地球文明

アル・ゴアにとって不都合な真実

「アル・ゴアに不都合な真実」

地球温暖化対策・京都議定書と、映画:不都合な真実-否論への意見

温暖化は憂うべきことだろうか―CO2地球温暖化脅威説の虚構

環境問題を考える

超限戦 21世紀の「新しい戦争」

*1:さらに「2020年までに破滅的な飲料水・エネルギー不足が発生し世界規模で戦争が勃発する。 各国は核の脅威を振りかざして、欠乏する食料・水・エネルギーを確保しようとし、世界は無政府状態と騒乱に陥る。その脅威はテロリズムの比ではない。」としている。