はてなサヨクの研究・リンクスコア編
【緒言】
はてなブロゴスフィアでは、seijotcpによる「ジェンダーフリーとは」や「教育基本法改悪反対」などのリンクやバーナーが散見される。これらは極めて政治的な主張の表象行為である。そこで、はてなブログにおける政治的な空気をより詳しく分析するために、はてなサヨクの研究を報告する。
なお、今回、他のブログとの比較は行わなかった。理由はめんどくさいというのが一点。もう一つは、今回用いた手法が、はてな独自のシステムに依存したものによるからである。したがって、この研究は「はてな」に左翼が多いとか言うことを主張するものではない。この研究だけでは、はてなの特異性をなんら表すものではないことをまず断っておきたい。
【実験手法】
リンクスコアの比較
はてなブログの特徴は、なんといっても自動リンクである。わざわざ、リンクを断る積極的な理由はないはずだ。しかし、拒否したいリンク・キーワードへ投票することによって、リンクを断ることができる。もちろん、許可を認めるボタンもあるが、積極的に押す意味は余りないだろう。今回、それらの行為を意思表示の一形態として仮定した。リンクスコアは以下の式で表される。
リンクスコア(%)=リンク可の総数/(リンク可の総数+リンク不要の総数)×100
つまり、リンクスコア値が低いほど、そのキーワードを拒否したいものと考えられる。一方、リンクスコア値が高いほど、そのキーワードは受け入れられていると見なした。そこで、その仮定に基づき、政治的なキーワードに対するリンクスコアを比較・検討を行った。
【結果・考察】
(1) 「右翼」vs「左翼」
「右翼」 リンクスコア:34 リンク不要(30) リンク可(16)
「左翼」 リンクスコア:40 リンク不要(33) リンク可(22)
「右翼」34% < 「左翼」40%
「右翼」も「左翼」も、ともに低いリンクスコア値が得られた。両方とも、政治的な話題をするところでは頻繁に使われる言葉だ。これれらの言葉は使いたいが、リンクは勘弁してくれといったところか。また、「右翼」のリンクスコア値の方が「左翼」に比べ低い値を示した。その差は6%であった。
(2) 「ウヨク」vs「サヨク」
「ウヨク」 リンクスコア:31 リンク不要(13) リンク可(6)
「サヨク」 リンクスコア:48 リンク不要(15) リンク可(14)
「ウヨク」31% < 「サヨク」48%
カタカナの「ウヨク」と「サヨク」も、ともに低いリンクスコア値が得られた。また、「ウヨク」のリンクスコア値の方が、「サヨク」に比べ低い値を示した。その差は17%であった。これは漢字のキーワードに比べより顕著な差であった。母数が異なるため単純な比較はできないが興味深い結果である。以上の結果をまとめると、はてなブログでは「ウヨク(右翼)」のキーワードをより忌避する傾向があることが示唆された。
最後に、「保守」のリンクスコアを示す。
(3) 「保守」
「保守」 リンクスコア:26 リンク不要(45) リンク可(16)
「保守」のリンクスコア値は26%と、とくに顕著な低さを示した。
【まとめ】
はてなブロゴスフィアでは、「ウヨク(右翼)」、「保守」という言葉が、とくに拒否される傾向にあることが分かった。これらの言葉は使いたいが、なるべくなら秘密裏にしたい積極的な理由があるようだ。しかし、今回の調査だけでは不十分である。今後、さらなる調査が期待される。
【謝意】
なお、フィールド・ワークは不定期に行っており、前回、調査に協力してくれた左翼系ブロガーにはここに感謝の念を記したい。とくに、教育基本法改悪反対運動においては、中核派に対する不寛容な意見が数多く集まった。これは少し意外な結果であった*1。
どうやら、リベラル系左派であっても、中核派は同じ仲間として受け入れてもらえないようであった。ところで、オウム事件においては、オウムを断罪するマスコミや国家権力が、どことなくオウムに似通ってきてしまう構図があることを大澤真幸らにより指摘されている。前回の中核派を用いた研究においても同様の構図は見出されており、原理主義が新たな不寛容を生み出す構図は、かなり一般的な現象であることが示唆された。
【これまでのはてなサヨクの研究例】
・脳内新聞(ソース版) - {はてなにはサヨクの政治ブログが多い?}
・coochoo the MAGIC - はてなサヨクと希望の時代