ネット右翼

日本の右傾化とともに、ネット右翼という言葉を最近、耳にすることも多いだろう。これまで、メディアは一方通行の垂れ流し状態であった。間違いがあってもその訂正記事はほんの数行で、それに気づく人はほとんどいない。


だから、マスコミのいうことを絶対的真理として受け止めてしまう人も多かったのではないだろうか。しかし、世に、公平、中立なメディアは存在しない。人は過去と未来の狭間の中で、過去に縛られながら生きている。その時代の文脈から切り離された言動が出来る人など本来いないはずだ。
 

そこへ、ネットの登場だ。テレビや新聞は、常に新しい情報に更新され、過去の情報を振り返ることはない。しかし、ネット上では、過去にマスコミが垂れ流してきた報道をいくらでも検証することが出来る。そのため、朝日新聞などが北朝鮮を「地上の楽園」と賛美するなど、過去にどれくらい偏った報道がなされてきたかが明らかにされた。しかも、そのことで朝日新聞が謝罪なり、訂正記事を書いたことはほとんど無いのではないだろうか。


そのため、朝日新聞はその反動としてのいわゆるネット右翼を自らの偏向報道で増やしていることに、余りにも鈍感に見える。朝日新聞の記者といえば、過去に右翼の国体をまとった左翼、つまり隠れ共産主義者により、日本を戦争の泥沼に引き釣り込んだ過去がある。その筆頭がゾルゲ事件でつかまるまで共産主義者であることを隠し続けた尾崎秀実である。


今の朝日新聞にもし隠れ共産主義者が指揮しているとしたら、それは戦前のように右翼の国体をまとう方法と同じままではばれてしまう。そこで、反動右翼作戦だ。朝日新聞が左に寄ればよるほど、それに反発して反動右翼が形成される。この朝日新聞の捨て身の戦法はさすがに巧妙なのものだ。アホな左翼を演じてまで、反動右翼を形成させるとは凄まじい執念を感じる。


もっとも、本来、フランス革命のときに、恐怖政治を行ったロベスピエールら急進派を左翼と呼び、その全体主義的恐怖政治に対抗するたの防波堤として、エドマンド・バークらにより保守主義思想は完成した。だから、反動右翼よりも保守主義思想の確立こそが左翼にとっての脅威となる。


単なる反動右翼(王党派)は左翼にとっての脅威ではない。むしろそれはスターリントロツキー内ゲバのようなものだ。日本の右翼といえば街宣車を乗り回した朝鮮系暴力団のイメージしかわかないが、国体の衣をまとった左翼の名残を感じさせる風情は流石だ。


朝日新聞がアホな左翼を演じている限りは反動右翼も油断して、保守主義になることはないだろう。保守主義の弱点は、その思想上の価値観や立ち位置に対する分かりづらさにあるといっても過言ではない。今日もまた、政治家のアドバルーン発言に踊らされる国民を尻目に政治は進む。メディアリテラシーは、このようにメディアが及ぼす反動勢力の形成など、二次的、三次的効果まで踏まえた上で、会得できるものかもしれない。