脳はメディアとしてのテクノロジーを欲する

人間は道具を使う。脳は道具というメディアを使い、世界を拡張させてきた。道具はやがて文明を生み、テクノロジーが発達した。脳は、やがてダイレクトにテクノロジーと結びつこうと欲する。現実の世界でも、サイボーグは実用段階にすぐそこまで来ている。


ガンダムの世界では、ニュータイプという一種の超能力をもった人類が描かれていた。現時点で、あのモビルスーツに最も近づいたロボットといえば、山海教授のHALだろうか。HALは生体電位を用いて制御を行っている。動けと意識すればその生体電位を読み取って、運動をアシストする。レバーやハンドルなどを操る必要はまったくない。


マクルーハンはメディアの概念を拡張させた。現実の世界でも、メディアの発達は著しい。メディアに対する過剰適用による弊害も出てきているかもしれない。それを養老孟司は脳化社会と呼び警告を鳴らす。脳にとって一番、身近なメディアは身体だ。メディアとしての身体の使い方をもう一度、問い直す試みが、これから盛んになるかもしれない。


宗教では伝統的に身体の使い方を修業などを通して発達させてきた。今一度、宗教の重要性も見直されるべきだろう。脳科学はそれらを解明するための強力なツールになりうると期待しよう。