左翼のタブーを暴いた拉致問題

既存メディアの怠慢とネット右翼
日本において、マルクス主義の凋落を示す象徴的な事件として連合赤軍事件があげられる。小泉元首相の訪朝によって拉致問題が衆人に知るところとなった。ネット右翼という言葉があるが、これまで在日特権などのタブーに対してこれほど自由に言うメディアは存在しなかったと思う。


もちろん、脊髄反射的に韓国や中国を嫌悪する国粋主義者民族主義者は争いを助長する危険因子でしかないが、これまでのように相手のことを思いやって黙っていることは相手を馬鹿にしているのと同じだ。主張することは主張して、お互いの思いを知ることがまずは先決だと思う。これまであらゆるタブーに弱腰であったメディアに活を入れるという意味で、ネット右翼はいい緊張感をメディアにもたらした。


しかし、一つ気にになるのは、日中記者交換協定のことだ。これは中国による日本に対しての事実上の言論統制と見てもいいと思う。 日中記者交換協定では次の3点の遵守が取り決められている。

・日本政府は中国を敵視してはならない
・米国に追随して「二つの中国」をつくる陰謀を弄しない
・中日両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げない


最近、中国によるチベットの弾圧映像をネットで見た人もいるかと思うが、日本の大手メディアの取り扱いは微々たるものだ。日中記者交換協定は、日中国交正常化を急いだ政治家による失策の一つに上げられると思う。これまでの自民党保守主義とはいえない。利己主義の集まりである。今の中国の政権を担う胡錦濤主席は、チベット弾圧の陣頭指揮を執って台等した人物である。経済のためにチベット人人権を無視できる日本の経済界は腐敗している。アメリカが反共のために独裁国家を支援したのと同じようなものだ。


日本はあくまで中国の民主化を求めてから経済的な交流を行うべきだった。過去に、中国の民主化を求める動きに天安門事件があった。しかし、現在、民主化を求める動きは金盾プロジェクトなどにより今のところほぼ封じられている。ロシアも中国も民主主義とは程遠い状態にありながら今や資源大国である。アメリカが独裁国家のサウジと付き合わざるをえないように、日本もチベットの弾圧の犠牲の上に乗りながら、中国を経済発展の足がかりにするしかない現状がある。